「インフィニティニキ」のオープンワールドを創り上げたInfold Gamesのアプローチ

Promotional key art for Infinity Nikki featuring the game’s main character in a red and white archer’s outfit, holding a bow, standing on a wooden bridge beside her small white cat companion. A vibrant fantasy village with waterfalls, colorful banners, and layered cliffside buildings stretches out in the background.

ビデオゲームグラフィックスの可能性を極めた「インフィニティニキ」の、文字通り「輝かしい」事例をご紹介します。

Infold Gamesが手掛ける着せ替えシリーズの5作目となる「インフィニティニキ」は、RPGアクションアドベンチャーの要素を初めて取り入れた作品でもあります。ただし、武器を探したり、敵と戦ったりするのではなく、好奇心旺盛なヒロインが数々の不思議なエリアをめぐり、魔法の衣装(セットコーデ)を見つけ出してパズルを解いていきます。


インフィニティニキ

  • 対応デバイス: iPhone、iPad
  • 拠点: 上海
  • 受賞歴: Apple Design Award受賞(ビジュアルとグラフィック部門、2025年)、App Store Awards Game of the Yearファイナリスト(2025年)、App Storeエディターのおすすめ

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もちろん、ファッション性の高いゲームプレイも健在です。ニキが歩くたびにドレスが揺れ動き、ケープが風になびいてきらめきを放ちます。衣装ごとに異なる能力が備わっており、プレイヤーはニキとモモ(ネコのような姿をした相棒)と共に巧妙なパズルを攻略していきます。趣がある石畳の街並みから遠くの山々まで、本作の舞台となるマーベル大陸全体が最先端のビジュアルで命を吹き込まれており、グローバルイルミネーションなどの高度なシェーディング技術により、美しいリアルなライティングとエフェクトで彩られています(エグゼクティブプロデューサーの冨永健太郎氏は、以前、「ゼルダの伝説」シリーズのいくつかの作品に携わっていました)。

テクスチャ、ライト、アニメーションのワンダーランドである本作は、Apple Design Awards 2025年(ビジュアルとグラフィック部門)を受賞しています。「インフィニティニキ」で衣装担当リードゲームプレイシステムデザイナーを務めるDouhu氏、リードプログラマーのAde氏、アートディレクターのDodie氏に詳しいお話を伺いました。

Viewed from inside a cave opening, a fantasy game character in a white gown hangs from a zipline cable, soaring above a colorful village nestled among rocky cliffs and autumn-colored trees, with a waterfall in the background.

この第5作目をオープンワールドRPGにしたのはなぜでしょうか?

Douhuさん: 6年前、本作について考え始めた時点で、すでにオープンワールドゲームにすることが決まっていました。そこで私たちは、「このオープンスペースにニキをどのように登場させるか」、また「市場に出回っているほかのオープンワールドゲームとどのように差別化するか」を自問しました。

ゲームの世界をできるだけイマーシブなものにするため、常に細部にまで気を配っているのです。

Douhu氏(衣装担当リードゲームプレイシステムデザイナー)

本作は、ニキシリーズで初めて、アクションアドベンチャーの要素とライトな戦闘を取り入れたゲームとなっていますね。

Douhuさん: はい。ですが、戦闘をこのゲームの中心的な要素にはしないと決めていました。ニキシリーズには確立されたスタイルがあります。その世界観をどのように維持するかについて、慎重に検討しました。

本作のビジュアルは何人で制作したのですか?

Douhuさん: 800人ほどの大規模なチームで制作にあたりました。楽しいけれど、非常に複雑な作業です。カットシーン、NPCエコシステム、ライティング、パフォーマンスなど、多数のビジュアルパイプラインを同時に動かしているため、制作プロセスはとても複雑です。

A close-up of a highly ornate red and gold garment featuring a brightly colored, embroidered butterfly design on the chest, accented with glowing lights, draped pearls, and large red lotus flowers on the shoulders.

布地、輝き、環境、自然の要素など、その成果はゲームのいたる所に現れていますね。

Douhuさん: 私たちはあらゆることに気を配っています。例えば、カットシーンでニキが階段を駆け上がる際、ドタドタとした足取りにはしたくありません。ニキには、軽やかで優雅に動いてほしいのです。また、プレイヤーが耳にするすべてのサウンドは現実の音をもとにしていますが、ポストプロダクションの編集段階で多少アレンジを加えています。ゲームの世界をできるだけイマーシブなものにするため、常に細部にまで気を配っているのです。

ニキのダブルジャンプは特に優雅で、まるでグライダーがそっと舞い降りるようです。

Douhuさん: プレイヤーのみなさんに、この世界をじっくりと体験してもらうためです。このゲームの核となる要素はジャンプですが、決して素早い動きではありません。ふわりと浮遊するようなゆっくりとした動きです。こうすることで、マーベル大陸を隅々まで味わい、楽しんでもらいたいと考えています。

A portrait of a fantasy game character wearing an elaborate tall gold filigree crown adorned with red gemstones, with cascading crystal face chains and a sheer veil framing her face. She wears a white lace gown with ruby jewels at the neckline, set against a dark blue twilight sky.

このような作品の場合、ビジュアル制作の初期段階はどのような感じなのですか?

Douhuさん: 今回でニキシリーズは5作目となります。キャラクターや作品理念はすでに固まっていたので、最初のうちは、新しい世界やさまざまなマップの構想を練ることに集中しました。

Adeさん: まず、現実の素材をベースにして、エンジン上でファブリック(布地)の構造や物理的な挙動を再現します。その上で、それらのファブリックを大幅に進化させます。当社のライブラリには膨大な数のファブリックカテゴリがあり、その多くは以前の作品から受け継いだものです。それらにさまざまな調整やエフェクトを加えることで、現実を超えた世界観を感じられるように仕上げていきます。

Douhuさん: 私たちのオフィスには、確かに大きなクローゼットがあります。ですが、ここで強調したいのは、実際のファブリックをそのまま取り込んだり、現実をそのまま再現したりするのではないということです。そこには「ファンタジー」という要素が欠かせません。複雑な刺繍、多彩なパターン、きらめく特殊効果を加えることで、現実をより幻想的かつ魅力的なものとして描いています。だからこそ、ニキの衣装は現実よりいっそう華やかに見えるはずです。

A fantasy game character dressed in an elaborate white lace gown and ornate gold crown floats in midair, shooting a beam of golden light from her hand toward a large mechanical wheel. A whimsical village is visible far below.

このゲームの要素を一つ選んで、どのように命を吹き込んだのか教えていただけますか?

Dodieさん: 私たちのアート制作の中心には常に色があります。バージョン2.0から、星5セットコーデ「Behind Prayers(秘せし祈りの調べ)」、および「Snail Ranch(スカルゴ飼育場)」と呼ばれるエリアの2つの例をご紹介します。

「Behind Prayers(秘せし祈りの調べ)」の核心となるデザインコンセプトは「囚われの聖女」です。そのため最大限のデザインアプローチを採用しました。この聖女は自由を渇望しつつも、その身体は豪華な装束や宝石で幾重にも包まれています。これらは神聖な栄光を象徴すると同時に、聖女を縛りつける重圧も表しており、まばゆい輝きを放ちながらも、抗いがたい重みを感じさせるデザインとなっています。

神聖さと輝きを表現するため、メインカラーにはゴールドを選択。また、視覚的な単調さを避けるため、アクセントとしてグリーンを取り入れました。さらに、色とりどりの宝石を豊富にあしらい、プリズムのような輝きを放つエフェクトを加えることで、夜でも鮮やかにきらめくように仕上げています。

一方、「Snail Ranch(スカルゴ飼育場)」は、プレイヤーがItzaland(イザンの地)で最初に訪れる場所であり、ニキがキノキノ族とスカルゴに初めて出会う場所でもあります。

このエリアのライティングは、あえて明るく、プレイヤーを暖かく迎え入れるように設計されています。巨大な葉の間から木漏れ日が差し込み、暖かく穏やかな雰囲気を醸しだす一方、道端の小さな水たまりでさえ、空の深い青を映し出しています。まるでおとぎ話のようなこのシーンは、プレイヤーを物語の世界へと誘い、思わず夢中にさせてしまう魅力に溢れています。

A close-up of a fantasy game character wearing an intricately detailed white hanfu robe adorned with gold embroidery, colorful beaded necklaces, red and blue ribbon accents, and a jade lotus pendant at the waist.

これらのファブリックや衣装を制作するにあたり、どのようなアプローチを取りましたか?

Adeさん: 「インフィニティニキ」では革新的なマテリアルシステムを採用しており、その核となるのが再設計されたファブリックアルゴリズムです。これにより、4層UVブレンディングテクスチャのメリットを活かしつつ、最小限のパラメータ調整だけで、綿や麻の自然な風合い、シルクやサテンの滑らかな光沢、さらには各種ベルベットやフランネルの繊細な質感までを正確にシミュレートできます。また、このシステムは、カスタム反射や多彩な輝きのレスポンスも深くサポートしており、際立つハイライトや幻想的な輝きを容易に作り出すことができます。例えば、セットコーデ「Fairytale Swan(フェアリーテイルスワン)」に見られる、紗とシルクが織りなす独特な風合いもその一つです。

「インフィニティニキ」の視覚的な豊かさは、ファブリックだけにとどまりません。私たちは、高度なアルゴリズムを用いた独自のジュエリーマテリアルシステムを開発しました。目的は、複雑な屈折、3Sによる光の透過、多彩に変化する鏡面ハイライトなど、宝石特有の輝きをシミュレートすることです。セットコーデ「Fairytale Swan(フェアリーテイルスワン)」にあしらわれた真珠やダイヤモンドでもこのシステムが用いられています。ダイナミックな表現についても、これまでの制約を打ち破りました。「Threads of Reunion(再会の糸)」のようなハイエンドな衣装のアニメーションパターンをサポートするため、チームは、Unreal Engine 5固有のモーションブラーがUVアニメーションに干渉してしまう問題を軽減する革新的な手法を開発しました。これにより、鮮明で生き生きとした天体運動エフェクトが可能になりました。独立した3つの軌道によって、惑星の形状、角速度、軌道を自由にカスタマイズし、流れるような小惑星帯や月の満ち欠けを表現することができます。

A close-up of a fantasy game character with long red hair wearing a glittering black and gold strapless ballgown with a glowing heart-shaped bodice, layered gemstone necklaces, and jeweled mesh gloves. Sparks of light emanate from her outstretched hands against a grassy background.

物理シミュレーションについては、どのようなアプローチを取っていますか?

Adeさん: 自然で表現力豊かな動きを実現するため、スケルタル物理とChaos Clothを柔軟に使用しています。独自の骨格チェーンアルゴリズムと強化されたクロスソルバーを用いて、計算負荷が高く不安定になりがちな従来の「コリジョンベースのアルゴリズム」を、より安定的で制御しやすい「制約ベースのアルゴリズム」に置き換えました。例えば、ニキがゆったりとしたドレスを着て走る場面があります。プリプロセス段階で柔軟かつソフト駆動の制約ステージを導入することで、激しい動きを伴うシーンでも、衣装が身体を貫通しないようにしています。

物理的なリアリズムを追及する一方、このシステムは、特にパニエを用いた構造的な衣装において、制作者が意図した優雅なシルエットを維持します。こうした衣装は、布地の自然な流れを表現しつつ、物理構造に即した動きを保たなければなりません。当社独自のアルゴリズムは、異なる種類の衣服や重ねた衣服の衝突処理にも対応しているため、安定性を損なうことなく、自由なコーディネートを楽しむことができます。視覚効果とパフォーマンスのバランスを慎重に取ることで、どのプラットフォームでも一貫した結果を実現しています。


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